中国で結婚できない男女が増えている原因

中国の多くの女性は家と自動車を持っていることを結婚相手の「最低条件」としています。ホワイトカラーの男性ならまだしも一般労働者でこの条件をクリアするのはかなり難しく、親や祖父母、親戚からお金を借りてまで家を購入しようとする涙ぐましい男性もいるほどです。

こうした高いハードルが結婚できない男を増やしている側面もあります。結婚できない適齢期の男女の数は中国全体で約1億8,000万人にも上ると言われており「一人っ子政策」と晩婚化の影響で、中国の少子・高齢化はますます深刻なステージに突入するとの懸念の声もあります。「80後」の価値観とライフスタイル25歳~28歳という中国女性の結婚適齢期を今まさに迎えているのは「80後」と呼ばれる世代の若者たちです。

「80後」とは文字どおり1980年以降に生まれた世代のこと。より正確には1980年~1989年の間に生まれた若者たちのことを指します。同じように1990年から1999年までに生まれた若者は「90後」と呼ばれます。2011年現在、「80後」の年齢は22歳~31歳、「90後」は10歳~21歳ということになります。

中国で結婚できない男女が増えている原因のひとつは「80後」の価値観が、それ以前の世代と大きく変わってしまったことにもあると言われています。現在40代の1960年代生まれ、30代の1970年代生まれは、ともに「改革・開放」以前の中国に生まれた世代です。特に1960年代生まれは幼少期から少年期にかけて文化大革命を経験しています。

「ビートルズを知らなかった紅衛兵-中国革命のなかの一家の記録」(唐亜明,岩波書店,1990年)というタイトルの本もあるように、当時の子どもたちは世界で何が起こっているのかを知ることもできず、政治の嵐が吹き荒れて経済活動がおろそかにされた結果、北京や上海といった都会に暮らす人々でも貧しい生活を送っていました。

当時はまだ「一人っ子政策」は導入されておらず、むしろ国家を発展させるために「産めよ、増やせよ」と大号令がかけられていました。そのため子どもの多い家庭ばかりで、ますます苦しい庶民生活を余儀なくされていたのです。

しかし「80後」が生まれた1980年代は「改革・開放」によって海外からさまざまな情報が流入し、急速な経済成長とともに庶民の豊かさが少しずつ増していった時代です。そのうえ1978年に導入された「一人っ子政策」によって親は一人の子に集中的にお金をかけられるようになりました。

金銭的に恵まれ、両親や祖父母の愛情をたっぷりと受けて育った「80後」は前の世代に比べてわがままで自己主張が強く、負けず嫌いなところがあると言われています。その半面、何不自由なくわがままに育てられたので協調性に乏しく打たれ弱い面があると言われるのも、この世代の大きな特徴です。

また「80後」が育ったのは江沢民前国家主席が「天安門事件」後の中国共産党に対する国民の求心力低下を食い止めるため、愛国教育を繰り広げた時期に当たります。そのため「80後」は前の世代に比べて反日感情が強く、2005年の小泉前首相の靖国参拝以来、中国の反日デモや暴動を主導しているのも「80後」の若者たちです。

その一方で「80後」は幼少期から日本のアニメや音楽などにも親しんでおり「日本は嫌いだけれど、日本のサブカルチャーは好きだ」という複雑な対日感情を持っている若者も少なくありません。「80後」のもうひとつの大きな特徴は1990年代以降、中国でも急速に普及したインターネットの洗礼を受けて育った世代であることです。

国内外のサイトにアクセスして海外の最新事情や流行を入手したり、チャットやオンラインゲーム、ショッピング、株式取引などを楽しんだりするのが当たり前です。

自宅や会社にパソコンがなければ「網町」と呼ばれるインターネットカフェに入り浸り、日がな一日パソコン画面に向かっている若者もいます。そのため「80後」はファッションやトレンドに関する情報には非常に敏感で「自由気ままに生きたい」という人生観を持っているようです。

— posted by しょういち at 04:42 pm