中国の婚活ブームがいまの中国の世相を非常によく反映している

そもそも「婚活サイト」で結婚相手を探すというテーマ自体が今の中国の世相を非常によく反映しています。日本でもここ数年「婚活ブーム」が続いていますが、中国ではそれを凌ぐほどのブームが巻き起こっているのです。中国には映画に登場したような「婚活サイト」の運営会社が100社以上もあると言われ、中には登録会員数が2,500万人以上に及ぶ巨大なサイトもあります。このほかネットを媒介ともない伝統的な結婚相談所や、お見合いパーティーなどを開催する婚活イベント会社も無数に存在し、一説によると中国の婚活ビジネスの市場規模は100億元(約1,200億円)にも上ると言われています。

婚活が盛んになっている理由は「結婚できない若者」が増えているからにほかなりません。その原因のひとつが、「一人っ子政策」による男女比のアンバランス化です。中国政府直属のシンクタンク中国社会科学院が2010年に発表したレポートによると、中国では「一人っ子政策」が実施された後、男児の出生数が女児を上回る傾向が年を追うごとに顕著になっていることがわかりました。

政策実施から4年後の1982年には出生時の男女バランスが女児100人に対して男児が108,49人だったのに対し、2000年には男児が119人、2005年には210,49人にまで増えてしまいました。レポートでは「このままでは2020年に結婚適齢期の男性の人口が女性を2,400万人上回る」と警鐘を鳴らしています。

中国では一般に男の子を欲しがる傾向が強く「一人しか産めない」という制約の中で身ごもった子が女の子であることがわかると堕胎してしまうことも珍しくありません。この傾向は地方や農村部ほど強く、内陸部の一部の省では出生時の男女比率が女児100人に対して男児130人にも達しています。

嫁不足に悩んだ農村が、よその地方から若い女性を誘拐するといった深刻な社会問題に発展しているほどです。一方、中国の都市部においては、むしろ「結婚できない女性」の問題が深刻化していると言います。外資系企業などで働くホワイトカラーの女性たちの多くは仕事が忙しく、プライベートに費やす時間が削られるため、恋愛をするどころか交友関係を広げる余裕もさほどありません。

中国で女性の結婚適齢期とされる25歳~28歳前後になっても「出会い」に恵まれないことに焦りを感じて婚活サイトに登録したり婚活パーティに参加したりする人が増えているようです。

しかし、収入に恵まれた都会のホワイトカラーの女性たちは結婚相手選びも非常にシビアです。年収や学歴、将来性などが自分に釣り合う相手でなければ結婚したいとは思いません。できれば共産党や国営企業の幹部、民間企業の経営者といったお金持ちをつかまえて「玉の輿に乗りたい」というのが多くの女性たちの願望です。

そうしたニーズに対応して中国では大富豪の男性限定の「婚活サイト」も登場しています。たとえばあるサイトは2010年6月、資産5,000万元(約6億円)以上の男性に限定して花婿候補を募集。18人の男性が応募し、その情報をサイト上に公開したところ、中国本土だけでなく世界中から約5万人もの女性から申し込みが殺到したと言います。

自分を売り込むためにブログや動画サイトを活用する女性の姿も目立っています。2011年2月には、なかなか結婚しない娘に業を煮やした母親が娘の入浴中の裸をネット上で公開し、香港や台湾だけでなく、米国の大手ニュースサイトでも取り上げられて大きな話題となりました。

このほかにも2010年3月には広東省広州市に住む8人の独身女性が下着姿で「わたしと結婚して」などと書かれたプラカードを掲げながら街角で踊っている様子が動画サイトにアップロードされ注目を集めています。

一方で、お金や地位のない男性は、どんなに若くて魅力的でも結婚相手としては見向きもされない傾向があります。「娶不起、没房没車誰嫁祢」(結婚できやしない、家も自動車も持っていないから)というあるネットユーザーの書き込みを紹介したのを覚えているでしょうか。

— posted by しょういち at 04:08 pm